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症状を追いかけない②(漢方編)

  • 執筆者の写真: 省三 遠野
    省三 遠野
  • 2016年5月17日
  • 読了時間: 2分

漢方の世界でも「症状を追いかけない」ということを別の表現で「症状ではなく証を診る」という言い方をします。 駆け出しの頃は分かっているようで分かっていない…という感じでした。 かれこれ10年ほど前、「証を診る」ということがある程度身に付いて来た時、不思議な症例に遭遇したことがあります。 当時働いていた漢方薬店の美容部門の方から相談があり、 「顎にニキビが酷く出ているんで、化粧が上手くいかないんで、漢方でどうにかならないか?」 とのことでした。 ニキビ? 「美容系は興味ないから勉強してないんよね~」と言いながら、患者様のところに行くと… 顔色が典型的な「加味〇〇散」の証!!(間違って使われたら困るから処方は伏せておきます) 私「もしかして、のぼせ症状がありますか?」 患「はい」 私「最近、イライラしやすくなっていますか?」 患「はい」 私「生理痛はありますか?」 患「あります」 など、確認する為に体質的なところを何個か質問してみたら、間違いない。 私「ニキビに効果があるかどうかは、勉強不足で分かりません。でも、体調は良くなると思います。試しに飲んでみますか?」 患「はい、分かりました」 で、2週間後… 患「あれから1週間でニキビがほとんど消えました。凄いです!暫く続けて飲んでみます。」 私「え?ホンマに効いたんですか?私の方がビックリです!なんで効いたんだろ?」 ついでに、のぼせ、イライラにも効果があったようで、凄く喜んでもらえたのを覚えています。 「証」を診ることが出来たら、患者様の主訴にとらわれず正しい薬を出せるんですね。良い勉強になりました。 実はこれには後日談がありまして、数年後西洋医学系の文献を読んでいましたら、ニキビと性ホルモンの関係をについて記載されていまして、読んでみると… 「女性ホルモンの分泌が悪くなると、顎周辺にニキビが出来る事がある。ちょうど男性のヒゲが生えるところ辺りである。だから顎に限定したニキビがある女性は婦人科系を疑うように…」とこんな感じでした。 「加味○○散」は確かに婦人科系で有名な処方です。

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